桜の宴


「いい天気だな〜っ!!」
少し肌寒さが残るものの、空は晴れ渡り、温かい陽射しの降り注ぐ縁側にごろりと横になった永倉が言った。
「たしかに陽射しがあったけくていいな。それに最近慌しくてすっかり忘れてたが、もうすぐ卯月だからな……。」
「な〜んか、怒涛の勢いで睦月、如月、弥生って過ぎてったもんな〜っ。昨日巡察出たときに見たけど、もう桜が満開だったし!!」
永倉に同意するように原田、藤堂が口を開く。
藤堂の言葉に原田、永倉が顔を見合わせ、何か思いついたらしくにぃっと笑った。
「そうかそうか、もう桜が満開だったか、平助!!」
起き上がった永倉が藤堂の背中をばんばん叩きながら嬉しそうにそう言った。
「いってぇ!!いてぇから、新八っつぁん!!」
永倉に叩かれている藤堂は文句を言ったが、永倉はがははははと笑いながらなおも藤堂の背中を叩き続けた。
そんな二人の様子を横目に見ながら原田が先程よりもさらに笑みを深くして言う。
「桜が満開だってんなら花見するしかねぇよな。極上の美味い酒に、美味い飯、そして頭上に咲き誇る満開の桜。
この上なく、酒が美味く飲めんだろうっ。」
原田がそのように言うと、永倉が続けて言った。
「それに、綺麗な姐ちゃんがいりゃ言うことなしだぜ。」
永倉のどこかずれている発言に一瞬二人は沈黙した。
「それは新八っつぁんだけだろっ。」
ぽつりと藤堂がそう言うと、原田も頷いた。その様子に永倉は反論するよう言い返してきた。
「なにおうっ!?じゃあ平助、お前は綺麗な姐ちゃんなんか好きじゃねぇっていうのか!?」
「誰も好きじゃないとか言ってないし〜。俺は、花見に綺麗な姐ちゃんはいなくてもいいじゃんって言ってるだけだって!!」
原田をよそに二人はくだらない言い合いを始めた。
永倉に対して売り言葉に買い言葉をやれば体力が持たない。
二人のくだらない言い合いを横目に原田は、一人花見の計画を練り始めた。
極上の酒はあの酒で決まりだよな……。あの酒に合うのはやっぱり、極上の飯だがどうすっかな……。
原田はそこまで考えてから、ふと妙案を思いついた。
そして、その妙案を実行に移すべく未だ言い合いをしている永倉と藤堂をそのままにし、その場を後にした。

「新八っつぁんは、いっつも女、女って、そんな女がいんなら花見じゃなくて島原行けばいいだろっ!!」
至極当然のことをいう藤堂の言葉に、永倉がまたしても言い負けてなるものかと言い返す。
この繰り返しを原田がいなくなってどれ程の時間続けていただろうか。
お互い激しい言い合いをしてきた為に息があがってきた頃、藤堂が提案した。
「はぁはぁっ……。新八っつぁん、もうさ、いい加減やめない?はぁはぁ……。」
「はぁはぁっ、そっ、そうだな。はぁっ、こんくらいで勘弁してやるかっ、はぁはぁっ……。」
ようやく言い合いをやめ二人は同時に縁側へと仰向けに倒れこんだ。
しばしの間二人の間には会話はなく、稽古後のような息遣いの音だけが聞こえていた。
そして、だんだんと息が落ち着いてきて、永倉と藤堂はようやく原田がいなくなっている事実に気が付いた。
「っつーか、左之さんどこいったんだよ、俺等を置いてさっ。」
藤堂がふてくされたようにそう言えば、永倉もそれに同意するかのように言った。
「左之の野郎、花見はどうするってんだ!!そういうの考えたりすんのは、気のつくあいつの役目だろうがっ。」
目を閉じてがしがしと頭をかきながら言う永倉の瞼に影が差す。
何だ?っと思い永倉が片目だけ開いてみると、原田が苦笑しながら二人を見下ろしていた。
「おいおいおい、そんなのいつから俺の役目になったんだよ。俺はそんな役目を引き受けたつもりはねぇぞ。」
寝転がる二人の傍に胡坐をかきながら原田が言う。
「やっと、あのくだらねぇやり取り終わったみてぇだな。」
永倉と藤堂が仰向けに寝転がる様子を見て嘆息しながらそう続けた。
原田のその言葉に再び火のついた永倉が跳ね起きて言う。
「くだらなくなんかねぇだろっ!!重要なことだろうが!!」
永倉の様子を見ながら緩慢な動作で藤堂も起き上がり、頬杖をつきまた始まったとあきれたような表情を浮かべた。
そして、また先程の二の舞とならないよう永倉を無視し、原田へと質問をぶつける。
「左之さん、さっきまでいったいどこ行ってたんだよ?」
「ああっ。ちぃっとな、頼み事をしに行ってきたんだよっ。」
藤堂の問いに、原田はにやりと笑いながら答えた。藤堂にしてみれば原田の様子にわけがわからないので首を傾げる。
「まあ、俺が何を誰に頼みに行ったのかは後でわかるさ。」
原田の言葉に、藤堂はますます意味がわからなくなった。
そんな二人のやり取りを見て、自分の存在を完全に無視して話をする二人に苛立った永倉は喚く。
「おいこら左之っ!!俺のこと無視すんじゃねぇっ!!話はまだ終わってねぇぞっ!!」
その声に原田は永倉の方へ視線を滑らせ言った。
「新八〜、お前の話をいちいち聞いてたら日が暮れちまうっ。花見すんだろ?なら、んなくだらねぇこと言ってねぇで上等な酒、調達に行くぞっ。」
"上等な酒"、永倉の頭にはその言葉だけが残った。
「何だか、釈然としねぇがまあ、花見に酒は必要だなっ。久しぶりに美味い酒呑みてぇし行くかっ!!
もちろん、言いだしっぺの左之のおごりだよな?」
「馬鹿っ。んな事あるはずねぇだろっ。」
酒って言葉で今まで散々、くだらなくないと言っていたことをあっさりと忘れ去れる永倉の単純さに、原田は苦笑した。
苦笑しながらも、それが新八のいいところだけどなっと原田は心の中で思った。
「おい平助っ、お前も行くぞっ!!」
「え〜っ、左之さん達だけで事足りるじゃん。」
「んな事言うんなら、お前には酒やらねぇぞっ。」
面倒くさがる藤堂にそう言えば、あっさりと、
「わ〜、行く行く!!行きますっ!!」
そう言って、三人で酒を買いに出かけることになった。


「―――――……。」
「どうした、千鶴?」
桜の木を仰ぎ見たまま、ぼうっとした表情で佇む千鶴へ原田が声をかけた。千鶴はその声に反応して、原田の方を見て答えた。
「原田さんっ。ただ、桜がこの世の物ではないくらい綺麗だなぁって思って。
いや、綺麗って言葉じゃ足りないですね。幻想的というか、触れたら壊れてしまいそうな儚さが持つ美しさ。
その桜の美しさに魅入られてました。」
ふふふっと笑いながらそう言う千鶴も月に照らし出され、はっと息を呑むほどの美しさで、原田は言葉を失った。
原田があまりにじっと千鶴の方を見ているので、どうしたのかと声をかけようとした矢先、千鶴を呼ぶ声がした。
「お〜い、千鶴〜!!飯食わねぇと新八っつぁんに全部食われちまうぞ〜!!」
「おい平助っ!!俺だってなぁ、女の子の分まで食っちゃいけねぇことくらいわきまえてるってんだ。」
そう言って、永倉は笑いながら藤堂の頭にげんこつをぐりぐりと押し付けた。
「いてぇっ!!いてぇって!!」
お酒が入って楽しげにじゃれている様子の永倉と藤堂のを見て千鶴はくすくすと笑う。
「二人共さ、こんな月も桜も綺麗な花見の席でくらい静かにできないの?」
沖田がにこにこと笑顔で殺気を放ちながらそう言えば、永倉と藤堂の動きがぴたりと止まった。
「そうだ、千鶴ちゃん、こっちに来て僕にお酌してよ。」
静止した二人の様子なんてお構いなしに沖田がお猪口をひらひらさせながら言えば、斎藤がいつものように沖田を諌める。
「総司、酌くらい自分でしろ。お前こそこのような夜くらい、千鶴に手間かけさせるな。
そうでなくとも、お前はいつもいつも千鶴の仕事の邪魔ばかりして「あ〜はいはいっ。」」
斎藤の言葉を遮るようにして沖田が返事をした。
「一君こそ今日くらい小言やめたら?」
永倉と藤堂のように、いつものやり取りを始める沖田と斎藤の様子に、千鶴はまたくすくすと笑った。
その千鶴の様子を微笑みながら見ていた原田が口を開く。
「いい加減、宴の席に戻らねぇとあいつ等から俺が睨まれそうだなっ。俺が千鶴を独り占めしてるってな。」
そう言いながらくしゃりと千鶴の頭を撫でた。千鶴はそれを気持ちよさそうに甘受し言った。
「ふふふっ、誰もそんなことは言いませんよ。
でも、せっかく原田さんのためにも作ったお料理なのに、食べてもらえないって言うのも悲しいですし、戻りましょうか。」
この花見の席に用意された料理は全て千鶴のお手製。極上の酒に合う極上の料理。
原田の考えた極上の料理は、千鶴の作る料理だった。
なので、永倉と藤堂が言い合いをしている最中に原田は千鶴を花見へ誘うと同時に、花見用に料理を作って欲しいとお願いしていたのだ。
そして、一人厨で料理作りに奮闘する千鶴に気がつかない幹部はおらず、気付いて千鶴に声をかけないはずがなく……
最初は原田、永倉、藤堂と千鶴で花見をする予定であったのが、気が付けば千鶴を知るほとんどの幹部が参加する事態となってしまった。
こんな予定じゃなかったんだがなっと、原田は苦笑し、小さく嘆息した。

「いや〜、それにしても実に見事なものだな。」
桜の大樹を見上げながら近藤が言えば、近藤と共に呑んでいた井上、島田が口を開いた。
「そうだね。いつの間にか桜が満開の季節になっていたんだね。」
「もう卯月を迎えますからね。しかし今日が満月で良かったです、月明かりに照らされて桜も一層美しく咲き誇って見えます。」
盃を手にしながら夜桜の風情ある姿に三人は見惚れる。
僅かな風が吹き、花びらがはらはらと風に乗って舞い下り、盃の中へと落ちた。
近藤は思い出したように桜から視線を外し、口を開いた。
「しかし、桜も見事だが、この料理も見事だ。この料理はいったいどうしたんだ?」
目でも十分に楽しめる重箱に詰められた素晴らしい料理へと視線を遣り、近藤が疑問を口にした。
近藤等三人の元だけでなく、思い思いにそれぞれ酒を呑み交わしている他の幹部達の元にも、
同じように重箱に詰められた料理が並べられている。
「ああ、この料理は全部、雪村君が作ったものだそうだよ。原田君が雪村君に頼んでいたみたいでね。」
近藤の疑問に井上が答えると、近藤は目を丸くして驚いた。
「ふむ、そうなのか。こんなに美味い飯を作れるとは、雪村君はきっと良いお嫁さんになるだろうな。」
「屯所でも隊士達が気付かない様な細かいところにまで常に気を配ってくれていますし、良き妻、良き母となりそうですね。」
二人が千鶴のことを考えてそんなことを微笑みながら言っていると井上がぽつりと呟いた。
「……もう、どこか良い男の下へ嫁いでも良い年頃なのに、わたし達の都合で男装でこんな男所帯へ住まわせて、申し訳ないねぇ……。」
井上の呟きに二人は表情を固くした。
近藤、井上、島田の三人は他の幹部連中に忙しそうにお酌をしてまわる千鶴の姿をそっと見つめた。

「ねえ、千鶴ちゃん。君は何でそんなところにいるの?僕はさっき、お酌してって言ったよね?」
にこにこと笑顔を形作りながらも黒い雰囲気を出す沖田が千鶴へと言うと、
千鶴はびくっとしながら曖昧な笑顔を顔に張り付け、自分の横に座る人の顔を伺った。
そんな千鶴に隣に座る人物は無言でお猪口を差し出す。
「あっ、はい、どうぞ土方さん。」
差し出されたことに慌てながらも千鶴は土方のお猪口へお酒を注いだ。
「総司の言うことに耳なんか貸すことはねぇ。放っておけ。」
土方はそう言うと千鶴の注いだ酒を呷った。
空になったお猪口を差し出されたので千鶴は再びお酒を注ぐ。
「でっでも……。」
千鶴がそう言いかけたがその言葉は斎藤の声によって途切れた。
「千鶴、すまないが俺にも頼む。」
土方とは千鶴を挟んで逆に座る斎藤からそう言われ千鶴は急いで斎藤へお酌する。
「はっ、はいっ。斎藤さんどうぞ。」
「すまないな、ありがとう。」
お礼を言いつつ斎藤が、普段誰にも見せることがないような優しい微笑みを浮かべたので、
千鶴はかぁっっと顔が熱くなるのがわかった。
「いえっ……。」
そう小声で言うと、赤くなっているであろう顔を斎藤に見られないよう俯いた。
この時に千鶴の頭から沖田に言われた事はすっかり抜けてしまった。
自分の言った言葉を千鶴に無視されたことにも苛立ったが、斎藤に頬を染める千鶴の様子に沖田は苛立ちを一層募らせた。
おもしろくないなぁっ……沖田の心の中にはそんな感情が渦巻く。
苛立ちを極力表に出さないよう努力しつつも、黒い雰囲気を全く消すことはなくもう一度沖田は同じ事を千鶴に言う。
「千鶴ちゃ〜ん、僕にもお酌して欲しいな〜。千鶴ちゃんがお酌してくれないと寂しくてつい口が滑って"あの事"言っちゃいそうなんだけどな〜。」
"あの事"というのに千鶴は全く心当たりがないが、何だろう何かしたかな……っと、
純粋な千鶴は真に受けて不安になり、一所懸命沖田の言う"あの事"を思い出そうとした。
けれど、心当たりがあるわけでもない上にそもそも"あの事"なんてもの自体ないのだから千鶴は一向に何も思い出せない。
う〜んう〜んと頭を悩ませる千鶴の様子に沖田は満足そうに口の端をあげる。
沖田が、もう後一押しかな〜っと考えていると、それをぶち壊す声が聞こえてきた。
「千鶴君、沖田さんの言っていることは、君を副長と斎藤さんから離そうとしての空言だろう。
聞く耳を持つ必要はない。」
一人黙々と千鶴の作った料理に舌鼓をうちつつお酒を呑んでいた山崎が口を開き沖田の言葉を一刀両断する。
「千鶴っ、山崎の言うとおりだ。さっきも言っただろうが。総司の言葉に耳貸す必要なんざねぇよ。」
「総司の言う事にいちいち耳を傾けていたら、お前の身が持たないぞ。」
土方、斎藤、山崎の三人は無視すれば良いと言うが、千鶴にしてみれば沖田が嘘を言っているという確証はない。
自分の気付かない内に何かいけない事をしてしまったのではと思う千鶴の不安は増すばかりであった。
また、ぐるぐると何をしてしまったのだろうと考え始めた矢先、
「お〜い、千鶴っ!!こっち来て一緒に呑もうぜ〜っ。」
と藤堂が手をぶんぶんと振りながら呼びかけてきた。
藤堂の突然の声に再び先程まで悩んでいたことが嘘のように頭から飛んでいき、呼びかけに千鶴が答えようとしていると……。
「平助〜、ちゃんと呑んでるか〜??」
そう言いながら永倉が藤堂の肩、いや首に腕をまわした。
「ちょっ、新八っつぁん離せよ。」
酒を片手に上機嫌になっている永倉は、そんな藤堂の言葉は聞こえていない様子で、
本人としてはそんなつもりはないのだろうが、ぎゅうぎゅうと先程より力を込めて藤堂の首を締め付け始めた。
「平助〜っ。こ〜んな美味い酒久しぶりじゃねぇか?千鶴ちゃんの作った飯もうめぇしよ〜。」
いつも自分の筋肉を自慢している永倉だ、その腕力は半端じゃない。
かなりの力で締め付けられているのだろう、最初は力いっぱいその腕を引き剥がそうとしていたのだが、
はずれる気配がないため、藤堂は軽く涙目になりながら永倉の腕をばしばし叩いて抜け出そうとしている。
「新八っつぁん本当に苦しいって!!離してくれよっ。」
そんな藤堂の様子に、千鶴はどうしようと土方と斎藤の間でおろおろとしていたが、
原田が永倉と藤堂の方へ近寄って行ったので、原田さんが止めてくれる、助かったと思いほっと胸を撫で下ろした。
藤堂も原田が来たことによりこれで助かった〜っと思ったのだが、
「平助、な〜に甘えたことぬかしてやがんだ。新選組幹部たる者そんくらい自分で何とか抜けだせねぇとなっ。」
原田の言葉に藤堂は自分の耳を疑った。
千鶴も藤堂と同じくえっ!?っと驚く。
藤堂の思考が一瞬止まっている内に、原田は永倉と肩を組み楽しそうに言い放った。
「新八〜、平助がもっと酒が呑みてぇってよ。」
「おっ、そうなのか平助っ!!ちょっと待ってろよっ」
そう言いながら藤堂の首にまわしている方の手で持つ酒の蓋を開けようとするので、首を締める力はさらに強くなる。
「ちょっ、新八っつぁん、くっ、苦しい!!」
藤堂が先程よりも激しく永倉の腕を叩いてみるが、永倉の腕は全く緩まない。
原田の登場にほっとしたのに、事態は思わぬ方向へ進んでしまい千鶴は再びおろおろするしかなくなってしまった。
「千鶴〜、お前もこっち来いよ〜。こっちで一緒に呑もうぜ〜。」
永倉と肩を組み、すぐ側で起こっていることなんて全く知らないとでも言うような爽やかな笑顔で原田が言うが、
千鶴は平助くんが!どうしよう、どうすれば良いのっとますますおろおろしてしまう。
とりあえず平助くんの所へ行こう!!そうすれば何とかできるかもしれないっと千鶴が意を決して向かおうとした途端、
ぐんっと左手を後ろへ引かれ、千鶴は体勢を崩した。
倒れるっと思ったが、自分の手を引いたであろう人物に支えられ倒れることはなかった。
「ったく、あいつら何やってんだ。」
千鶴の頭上から舌打ちをしながら言う土方の声が聞こえた。
土方の声に、そうだ!!っと千鶴は後ろへ向き直る。
「土方さんっ、お二人を止めてくださいっ!!お願いしますっ。」
土方さんの言うことだったら永倉さんも原田さんも聞いてくれるはず!!そう思って千鶴は土方へ言ったのだが、
「大丈夫、だいじょうぶ。三人共頑丈だから放っておいても問題ないよ。」
っと沖田は楽しそうに笑いながら言い、
「千鶴、お前が気にすることはない。あいつらのはいつものことだ。」
っと斎藤は真面目な顔で動じることなく言い、
「彼等なら大丈夫だ。君が心配するようなことは何もない。」
っと山崎が千鶴のことを真っ直ぐ見て少し微笑みながら言い、
「そう言うこった。お前はここ(俺の隣)に座ってりゃいんだよっ。」
っと土方がにやりと笑いながら言った。
四人により千鶴はその場へ足止めされてしまい、平助くんが〜っとうろたえ、
酔っ払っている永倉、原田は藤堂を巻き込みいつものように、馬鹿騒ぎを始めた。

結局、藤堂は永倉と原田の馬鹿騒ぎに気が付いた井上、島田が二人を止めに入り救出され、
永倉、原田と千鶴の傍にいて何もしなかった四人にやりすぎだと近藤の雷が落ちたのはこのすぐ後のこと。


かつて新選組がまだ新選組となりえる以前(まえ)……。
試衛館道場で皆暮らしていた頃を思い出させるような騒がしいけれど楽しいこの時間は、
この先、新選組が辿る過酷な運命も知らず、ただ穏やかに緩やかに流れていった。


○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。 ○o.。
あゆむ様リクエストのオール物です。
何書こうと思ったときに、会社の窓から見える桜が目に入って花見にしよう!!っと決めました。
最初の方延々三馬鹿トリオのやりとりになってしまったのは、わたしが三馬鹿トリオ好きだからです。。。orz
書いてて楽しくて止まらなくなってしまうんです。。。
ちなみに最後の方の三馬鹿トリオのやり取りはガルスタの表紙をイメージしました。
甘さがなくてすみませんm(__)m本当はもっと甘々なものを!!と思っていたのですが、
桜って言うとどうしても、"薄桜鬼"ってタイトル通り新選組の生き様を重ねてしまって気付けばこんな話になってました。
リクエストしてくださったあゆむ様のみ持ち帰り可です。いらないとか言わないで下さいね(苦笑
ここまで読んでくださってありがとうございますm(__)m

 

 

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