ONE PIECE 後天性サラダ化
ありがとうの気持ち


「おおっ!!久しぶりだな〜っ、アイスのおっさん!!」
「んま〜……(このお嬢さんと会ったことがあったか?)」
久しぶりにガレーラの一番ドッグで指示を出していたアイスバーグのところへ突然現れた女の子が誰かわからず、アイスバーグは返す言葉を失う。
目の前にいるのは右手を上げて声をかけてきた女の子。
美しい黒髪はショートカットにされていて、零れ落ちそうな程大きな瞳も髪と同じく黒で、
その瞳はアイスバーグのことを真っ直ぐに見つめている。
華奢な体は出るところは出ているが、締まるところはきっちりと締まった均整のとれたスタイルをしている。
街中を歩いていれば誰もが振り返って見るだろう。
そんな世間一般で美少女と呼ばれるような女の子だが、一向に会った記憶は思い出せない。
それに、アイスバーグの中で自分を"アイスのおっさん"っと呼ぶのは、後にも先にも"麦わらのルフィ"唯一人。
そう言えば、今、目の前に立つこの少女の格好はその麦わらのルフィと同じような格好をしている。
頭には、赤いリボンのついた麦わらを被り、真っ赤なベストを身に纏い、デニム地のハーフパンツに足元はサンダル……。
そして、アイスバーグは目の前の顔を見て気が付く、目の下に傷跡があることに。
「そうだっ、また会えたら言おうと思ってたんだ俺っ!!」
麦わらによく似た格好の少女だが、身体的特徴まで麦わらに似ているが、まさかこの少女が麦わらのはずはないと、アイスバーグは自分に言い聞かせていた。
いくら何が起きても不思議じゃない偉大なる航路(グランドライン)と言えども、そんなことは有り得るはずがないと……。
「俺たちの船に、すんげぇいい名前付けてくれてありがとなっ!!"サウザンド・サニー"、本当にいい名前だよなっ!!しししししっ。」
少女の放ったこの一言に、アイスバーグは愕然とする。
やはり、この目の前にいる少女は麦わらのルフィと同一人物なのだろうか……。
呆然とその場に立ち尽くすアイスバーグへ別のところから声がかかった。
声のした方へ振り返ると、そこには二人の人間がいた。
「アイスバーグさんっ。麦わらの一味が訪ねてきてんだが……。」
「アイスバーグさんっ!!ああっ、船をありがとう!!サニー号は本当にすごいわ!!って、それどころじゃなかった、ルフィここにこなかった!?」
葉巻を銜えて現れた、今は副社長となったパウリーを押しのけるかのようにして、オレンジ色の髪の麦わらの一味の航海士が息巻いてアイスバーグへ問いかけた。
「んま〜……「あっ、ルフィって言っても以前ここに来たときとちょっと変わってしまってるんだけど……。」
アイスバーグがしゃべろうとするのを遮ってナミはしゃべり続ける。
「わたし達にも原因はわからないんだけど、ルフィが女の子になっちゃってて。」
ナミの言葉にアイスバーグは、やはり少女は麦わらのルフィなのか……っと思い、麦わらならここにっと再び口を開こうとした途端、
「ハレンチ娘、ついに頭までイカレやがったのかっ?」
っとパウリーが言い放った。
「何ですってぇ〜!!イカレてないわよっ!!ルフィが女の子になったのは紛れもない事実よっ!!」
普段ならこんな事聞き流そうとするナミだが、ルフィがいなくなったことで気が動転しているナミは、パウリーへ言い返す。
「んま〜……」
ナミのその迫力に言葉を続けることができなくなったアイスバーグ。パウリーとナミは言い争いを始め、さて、どうしたものかと思案し始めた時、
「な〜に、こんなとこで騒いでんだよ、ナミ?」
楽しそうにしししししっとルフィは笑って、ナミに言った。
その声を聞くや否や、ナミとパウリーがルフィの方へ顔を向けた。
「ルフィっ!?あんた、勝手に出歩くなって言ったでしょ!!」
「……っ!?」
ナミはルフィの姿を認識するや否や、ルフィへと駆け寄り頭を殴った。
一方パウリーは、先程のナミの言葉を有り得ないことと思っていたため、女になってしまったルフィを見て驚きに目を見開き、言葉を失っていた。
ナミの様子をみてアイスバーグはこの少女が麦わらであることは間違いなさそうだと小さく息を吐いた。
「いってぇ〜、何すんだよナミ〜。」
「うるさいっ!!あんたが大人しく人の言うこと聞かないからでしょ!!」
ナミの言葉にぶぅ〜っと口を尖らせるルフィ。
ナミとルフィがそんなやり取りをしている間に、ルフィの右腕と左腕と呼べる二人がやってきた。
「おい、ルフィっ!!てめぇは一人で動き回るなって言ってんだろうが!!」
「もう、どこに行ってしまったのかと思って心配したよ〜、ルフィちゃ〜ん!!
出かけたいならそう言ってくれれば俺が喜んでお供するのにぃ〜!!」
ゾロは怒りながらもどこかほっとしたような表情を浮かべ、サンジは目をハートにしてルフィが見つかったことを喜んだ。
「なんだ?お前等、心配してたのか?」
ルフィが心底不思議そうな顔をしてそう尋ねると、当たり前だと思っている三人はすぐに答えた。
「「「当たり前(でしょ、だ、だよ〜)!!」」」
その様子にルフィは笑みを深くして言う。
「しししっ、そっか、ごめんっ!!」
嬉しそうに笑いながら謝るその姿は、姿形こそ違えど、麦わらのルフィその人に間違いなさそうだと、アイスバーグは思った。
そしてふと気が付いた疑問を口にする。
「んま〜、ところでお前等は何でまたW7にいるんだ?」
アイスバーグの疑問は至極当然のもので、記録指針(ログポース)を辿ってしか先へ進むことができない偉大なる航路(グランドライン)では、
永久指針(エターナルポース)を持たない限り同じ島へ来るには、偉大なる航路を制覇するしかない。
偉大なる航路の制覇=海賊王。
新たな海賊王が誕生したという話も聞いたことがないので、偉大なる航路を制覇し麦わらの一味が再びここへやってきたとは考えにくい。
ならばなぜ彼等が一度通過したこの島にいるのか?
アイスバーグの質問を聞くと、麦わらの一味のクルーは皆、押し黙った。
ナミは俯き唇を噛み、サンジはタバコへ火をつけ紫煙を吐き、ゾロは刀を抱え壁を背に座り込んだ。
アイスバーグがそのさ3人の様子に違和感を感じていると、ルフィが質問に答えるべく口を開く。
「この島のログを辿ると行き着くのは魚人島だろ?だから、船のコーティングの為にシャボンディ諸島行ったんだけど、そこでいろいろあってさ……。
で、いろいろあった後に偶然W7の永久指針手に入れたんだ。
魚人島に向かう前に一旦、懐かしい場所を巡ろうってここに来たんだよ。」
ルフィは話している途中で、ひどく辛そうな表情を浮かべた。
ルフィとしては笑いながら言ってるつもりだったのだが、その表情は必死に笑おうとしているが、泣いているように見えた。
ルフィのその様子に、麦わらの一味のクルー3人は辛そうに、悔しそうにルフィを見ていた。
その様子にアイスバーグはそれとなく話を変えた。
「……んま〜、お前等もう、泊まるところは決めてあるのか?」
「いいえ、まだよ。さっき着いたばかりなの。」
アイスバーグの問いかけにはナミが肩を竦めて答える。
つい先程、W7に到着したのだけれどルフィが一人で船を飛び出して行ったので、3人は急いで後を追って探しに来たのだ。
今のルフィは女の子だ、しかも間違いなく可愛い部類に入る……。
そして、人を疑うことを知らない素直な性格のままで、女としての危機感も持っていない。
そんなルフィは無防備すぎる、いくらルフィが強いと言っても、男からしてみれば鴨がねぎ背負って歩いているようにしか見えないだろう。
海賊も普通にいるこの島でルフィ一人で出歩かせたらどうなるかわかったものじゃない。
そのため3人は何をおいても最優先でルフィを追いかけてきたのだ。
ナミの答えを受けてアイスバーグは先程思いついたことを口にする。
「そうか……、んま〜、なら家に泊まっていけ。」
「えっ!?いいのか、おっさん!?」
女の子となったルフィが嬉しそうに目を輝かせて言う。その様子に、アイスバーグは知らず顔が緩んでいった。
「んま〜、お前等には世話になったからな。」
アイスバーグのその言葉にナミがお礼を言おうとした矢先、ナミより早くルフィが、アイスバーグへ抱きついて言った。
「アイスのおっさん、ありがとうなっ!!」
抱きついたまま、上を向いて太陽を彷彿とさせるような笑顔でルフィが言えば、それを間近で見るハメになったアイスバーグの顔が僅かに赤くなる。
その様子を見ていた麦わらの一味のクルー3人は殺気を迸らせた。
「んま〜……、礼をしなくちゃならないのはこっちなんだ。」
ルフィから顔を逸らしてアイスバーグが言うと、ルフィは機嫌が良いときによくする笑い方をしながら言う。
「しししししっ、そうなのか?俺こそ、おっさんにはいろいろ世話になったぞ!!」
アイスバーグに抱きついたまま離れずに会話を続ける2人に、麦わらの一味のクルー3人組はいい加減業を煮やした。
「ルフィ?そんなずっと抱きついてたらアイスバーグさんに迷惑でしょ?」
にっこりと笑ってはいるけれど、目が本気のナミ。
「そうだよ、ナミさんの言う通りだよルフィちゃん!!そんなに抱きつきたいのなら、俺に思う存分抱きついてくれていいから〜っ!!」
アイスバーグへ嫉妬の炎をメラメラと瞳に宿しているサンジ。
「いい加減、お前は離れねぇかっ!!迷惑だろうがっ!!」
額に青筋を浮かべ、実力行使でアイスバーグから引っぺがそうとするゾロ。

結局、ゾロの実力行使によってルフィはアイスバーグから引きはがされた。
ルフィは"何だよ、ゾロ〜っ"と不満気にしていたが、アイスバーグは内心ほっとした。
抱きつかれていたときにルフィの胸があたっていて、さらには、ルフィの方がアイスバーグよりも身長が低いこともあり、
ルフィの方を見ると必然的に胸元まで見えてしまい、どうしようかと思っていたのだ。
そのおかげで、らしくなくも動揺してしまい、麦わらの一味に言いたかったことを全く言うことができなかった。

麦わら、お前は俺の命の恩人だ。
そして、お前等はフランキーの馬鹿を連れ帰って、止まっていたアイツの時間を前に進めてくれた。
トムさんに守られて、トムさんが連れて行かれるのを黙って見ているしかできなかった俺やフランキーとは違って、
お前等は絶対に無理だと思われてたことをやり遂げた。
お前等のおかげでフランキーだけじゃない、俺も救われた。
命だけじゃなく、全て……。
不可能を可能にする男はトムさんしか知らなかったが、麦わら、お前も不可能を可能にする男だ。
そんな男を再び目にすることができるとは思わなかった。そんな男を再び目の当たりにできて良かった。

ルフィが離れたことでようやく落ち着きを取り戻し、礼をいつ言おうかとアイスバーグが考えていると、
今まで、ルフィが女になっていることがなかなか理解できず固まっていたはずのパウリーが声を上げた。
「ぎゃ〜、このハレンチ娘が〜っ!!」
パウリーは顔を真っ赤にしてルフィに対して怒っている。
モテるのにあまり女に免疫のないパウリーにどうやらルフィが抱きついたらしい。
麦わらの一味のクルー3人は、今度はパウリーへと標的を変えて殺気を迸らせ、ルフィはご機嫌そうにしししっと笑ってパウリーに抱きついていた。

女だろうが、男だろうが、麦わらのルフィは変わらない。
ありがとうの気持ちを伝えればきっと、当たり前のことをしただけだと笑って言うだろう。

〜おまけ〜
「お〜っ!!お前ロープのやつじゃねぇか!!お前もあん時はいろいろありがとうなっ!!」
ルフィはそう言ってパウリーに抱きついた。
ルフィに抱きつかれたパウリーは、一瞬何が起こっているのか理解できず固まった。
ようやく、理解が進むとパウリーは顔を茹蛸のように赤くして叫んだ。
「……。ぎゃ〜、このハレンチ娘が〜っ!!」
そう叫んでルフィを引き離そうとするものの、今のルフィは女であるため、女相手に手荒にすることもできず、
ルフィに抱きつかれたまま慌てている。
先程のアイスバーグと同じ状態で、胸はあたっているし、視線を下げれば間近にルフィの顔、
更に下にはちらつく胸の谷間にパウリーの頭はショート寸前である。
そんなパウリーの思いを知ってか知らずか、ルフィは嬉しそうにパウリーに抱きついたまま。
そのパウリーの様子に殺意を覚えている者が3名……。
アイスバーグはその様子を見ながら、宴好きなこの海賊達は今日も宴を開くのだろう。
その最中にもこの光景は何度も繰り返されるのだろうな……血を見なければ良いが……っと密かに思うのだった。


○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。 ○o.。
やっちまいましたよ、ルフィ後天性サラダ化!!
金色のコルダ3シリーズの二次創作サイト様見てたら、ONE PIECEの二次創作があって、中身は肉のままのサラダ化二次創作が!!
ハマりました。。。orz
で、ルフィ女体化二次創作を探したらけっこうあるみたいですね☆その中で後天性サラダ化があって、
完璧にやられました。。。orz
こりゃもう、書きたい!!って衝動にかられちゃいまして。。。f(^^;)
アイスバーグの"んま〜"と、パウリーの"ハレンチ娘が〜"を言わせたいがために舞台は、W7に(苦笑
で更に、勝手に白ひげVS海軍の戦争後に。。。こうでもしないとW7に行かせられなくて。。。orz
これ、きっとしばらくハマっていろいろ書きそうです!!他ジャンルに書いてないのいっぱいあるのに。。。(爆
かなりの駄文、ここまで読んでくださってありがとうございますm(__)m

 

 

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