ONE PIECE 先天性サラダ船長
狼に気をつけろ!!


"大きくなったら、オレのところへ帽子を返しに来い、ルフィ。"

そう言って、オレに帽子を預けて出航していった海賊達と別れて10年以上が過ぎた。
17歳になって義兄のエースを追うようにして、オレは海へ出た。
もちろん、海賊になって幼い頃の約束を果たす為。
約束を交わした相手が今どこにいるのかも、わからないけど、オレは海賊王になる夢を果たすべく前に進むのみ。
海にでてから数多くの出会いと別れがあった。オレと一緒に冒険してくれる仲間もできた。
最初に仲間になってくれた世界一の大剣豪になる相棒のゾロ。
お宝とミカンが大好きで、世界海図を描きあげる夢を持つ航海士のナミ。
狙撃の腕はピカイチ、勇敢なる海の男で狙撃手のウソップ。
オールブルーをいつか見つけだす戦うコックのサンジ。
泣き虫で照れ屋で、心の優しい船医のチョッパー。
物知りで何でも知ってて、真の歴史を追い求める考古学者のロビン。
夢の船を作り上げるために海に出たサイボーグの船大工フランキー。
ラブーンが帰りを待っている海賊の一人、音楽家のブルック。
オレの仲間は本当にみんなおもしろくて、いい奴で、一緒にいると安心できる。

そんなオレの大切な仲間達と今日も気ままに偉大なる航路(グランドライン)を航海中のある日の出来事……。

「あらっ、ルフィあんたまた少し大きくなったんじゃないの?」
「そうか〜?」
「あら、本当ね。大きくなっていると思うわ。」
ナミの言葉に、半信半疑のルフィへナミの言葉を肯定するようにロビンが言った。
「本当にそうならあんま嬉しくねェな……。ない方が動きやすいし、戦いやすいのにさ……。」
麦わら海賊団の船長と航海士、考古学者の女3人は夏島が近い気候のために汗をかいた体が気持ち悪かったので、
昼間にも関わらず、サニー号の広いお風呂へ入っていた。
船長であるルフィは、オレはいいやと遠慮したのだが、強引にナミとロビンがお風呂へ連れ込んだのだ。
そして、ルフィの胸を見たナミとロビンの反応が先程のやりとりである。
「ん〜、まあそうかも知れないけど、アンタは女なんだから仕方ないわよ。そのくらい大きくなったんだから、
いい加減ちゃんとブラジャー着けなさいよ!!そのまま何もしないと垂れてくるわよ〜。」
ナミがニヤリと笑いながらそう脅すので、ルフィは"うっ……"と言葉に詰まる。
普段ルフィはブラジャーを着けていない。なぜなら、あの圧迫感がどうも慣れなくて気持ち悪く、動きづらいからだ。
「そうね、普通の女性であれば年齢と共に、垂れるって言われてるわね。でも、ルフィはゴム人間だからどうなのかしら?垂れない気もするわね。」
冷静にロビンがそう言えば、ルフィの表情はパァッと嬉しそうなものになる。
「ホントかロビンっ!?」
「まあ、その可能性はあるんじゃないかしら?」
垂れないのであれば、着ける必要もないわけで、あの圧迫感が嫌いなルフィにとって着けないでいいってことはかなり喜ばしいことだ。
"やった〜"っと喜ぶルフィにロビンは忘れることなく釘を刺す。
「でも、可能性の話だからやっぱり着けた方がいいことに変わりはないけれどね。」
にっこり微笑んでそう付け足すロビンにルフィはむぅっと頬を膨らます。
「そんな顔しても駄目よ。ちゃんと着けなさい。だいたい、狼が二匹も乗ってるこの船で今まで着けてなかったこと自体おかしいんだからね!!」
ナミが思い出したように語気を強めながら言うとルフィはその言葉に首を傾げる。
「狼が二匹……?トナカイとサイボーグと骸骨ならいるけど、狼なんかいねェぞ、ナミ。」
不思議そうにそう言ったルフィに、ナミは怒りでぷるぷると震える。
「アンタがいつもそうだから、わたしの気苦労が耐えないのよ!!」
怒り心頭のナミは、ルフィの頭をゴツンっと殴った。
ナミの拳骨は痛い……ルフィは"いってェ〜"と頭を抱えて何で殴られたのかわからず、ナミの方を向く。
「いいことっ?この前、春島の近くを通ったときのことよ。アンタ甲板の芝生の上で無防備にも昼寝してたでしょ。」
ナミの言葉にん〜っと考えを巡らせるが心当たりが多すぎて、思いつかない。
「そうだっけ?」
そう答えれば、ナミは再び拳骨を構える。その様子に"わ〜、待った待った!!"とストップをかけて必死に考えて"ああっ"とようやく思い出す。
その様子にナミは、他にもあるの……っとがっくりと肩を落とす。
どうして、うちの船長は……っと思いたくなるのを堪えてナミは言葉を続ける。
「あの時、アンタが目を覚ました時どんな状況だった?」
ナミの言葉に、再び考えてみる……。
あの時は、ん〜とな〜……

「……ん……?」
春島が近いせいか、心地良い暖かさに心地良い太陽の光についうとうととしてしまい、甲板の芝生の上でいつの間にか昼寝をしてしまっていた。
目が覚めたときはまだ、夕暮れには早い時間。おそらく3時くらいだろう。
そもそも、おやつの時間にお腹が空かないはずもなく、ルフィはお腹がペコペコで目が覚めたのだから、3時くらいに間違いない。
この時間、いつもならおいしそうな匂いが漂うはずの甲板だが、今日は何も匂わない。
「……?」
何でだ?と疑問に思い、キッチンへ行ってみようと体を動かしかけて、ようやく異変に気付いた。
腰の辺りに何かが巻きついていて、体が重い。
ルフィが自分の体へ視線を向けてみれば、腰の辺りに腕を回して……、所謂抱きついている状態で眠っているサンジがいたのだ。
何で、サンジはこんなとこで寝てんだ……?
腰の辺りにサンジは抱きついているので、当然顔はルフィの胸のところにある。
他の者が見ればサンジの下心が一目瞭然のこの光景にも、鈍いルフィはサンジの奴、何やってんだ?くらいにしか思わない。
とりあえず、お腹がペコペコなルフィは、おやつを作ってもらうべくサンジを起こすことにした。
「サンジ。おい、サンジ!!」
サンジを呼んでみるが、まったく起きる気配がない。
どうしたものか……そう思い、今度は、サンジの肩を叩いてみる。
「サンジ。お〜い、サンジ〜!!」
今度は、少し身じろぎしたかと思えば、ルフィへ抱きつく力が強くなる。
ぎゅっとサンジの腕の力が強くなるので、必然的にルフィへの密着度も上がり、サンジの顔はルフィの胸に押し付けられた。
さすがのルフィもこれには羞恥を感じ顔が熱くなり、サンジの腕から逃れようともがくがそこはやはり細いと言っても
男のサンジの力に敵うはずもなく、無駄なあがきに終わる。
ルフィは強いと言っても、戦いの場ならいざ知らず、筋力では圧倒的に男に劣るのだ。
「おい、サンジ!!いい加減にしろよっ!!」
そう言って、サンジの肩を掴んで引き離そうとするがびくともせず……。
ついにはサンジがルフィの胸に顔を摺り寄せた。
「〜〜っ……、サンジっ!!!!!」
ルフィが今までの比にならない程の声量で名前を呼べば、サンジもようやくノロノロと瞼を上げたのだが、
ルフィの大きな声に反応しないクルーなどいるハズもなく、皆、甲板へと出てきて、ルフィの状況を目の当たりにした。
そこには、ルフィの腰にしっかりと抱きつき、ルフィの胸に顔を埋めるサンジの姿。
ルフィとサンジ以外のクルーはその状況に一瞬固まったが、あくまでも一瞬……。
クルーはみな顔を引きつらせ、そこからの行動は早かった。
ゾロとフランキーがサンジをルフィから引き離すと同時に、ナミとロビンがしっかりとルフィを保護。
そして、サンジはどこへともなく連れて行かれ、晩御飯の時間まで見かけることはなかった。
晩御飯のときに見かけたサンジが傷だらけだったことの理由をルフィは知らない。

「おおっ!!思い出したぞ。何でかわかんねェけど、サンジがオレに抱きついてた!!」
ルフィはちゃんと思い出したぞと得意満面に言うと、ナミは"はぁっ"深い溜息を吐いた。
あの時、ルフィ自身もやめて欲しくて、あれだけ大きな声を出したと思うのに、どうして気付かないのかしら……。
ルフィの様子に、ロビンも肩を竦めて苦笑する。
「で、それと狼がどう関係あんだ?」
ルフィは腕を組んで首を傾げながらナミに尋ねる。
心底わからないといった様子で不思議そうに首を傾げる様の可愛さ、もとい破壊力は抜群だ。ここにあの狼二匹がいたらどうなっていただろう……
ここが女だけしかいいないお風呂で良かった……そうナミとロビンは心底思った。
「ねえ、ルフィ?」
「何だ?」
「サンジくんがね、ナミに抱きついて眠っていたらアナタどう思う?」
ロビンが少し考えてからルフィへ問いかける。
「サンジがナミに??そうだな〜……サンジはナミのことが大好きだからな、好きだからだなって思うぞ!」
ロビンの問いかけにルフィは率直な思いを答える。
「そう思うわよね?なら、サンジくんがアナタに抱きついていたのは、ルフィのことが好きだからじゃないのかしら?」
「ん〜……??そうなのか?」
いまいちナミのときと自分のときを同じように考えることができないようで、疑問調でルフィは言う。
「けど、実際、サンジくんがナミにそんなことをすることは有り得ないわよね?」
「そうだなっ。そんなことしたらナミ怒るもんなっ。」
ナミが怒ったときを思い出しながらルフィはうんうんと頷く。
「なら、どうしてサンジくんはルフィには抱きついていたのかしら?」
「ん〜……??何でだろうな?」
皆目見当がつかない様子でルフィは首を傾げる。
「サンジくんは、ナミのこともルフィのことも好きよね?」
「さっきのロビンの話からすればそうなるなっ!」
ニカッと笑いながらルフィは答える。
「サンジくんはナミのこともルフィのことも好き。まあ、一口に好きと言っても種類に違いはあるけれどね。
けど、ナミには抱きつかないけど、ルフィには抱きつく。どうしてだと思う?」
「わかんねェっ!!」
先程聞かれたときと同じようにルフィは答える。
「そうね、じゃあ、ナミにはあってルフィにはないからサンジくんはルフィに抱きついていたんじゃないかしら?」
「ナミにはあって、オレにはないもの……?」
ロビンの言葉を噛み締めるようにルフィは言う。
「どういうことかしっかり考えなさいルフィ!!」
「さ、あまり長時間浸かっているとのぼせるわ。あがりましょう。」
汗を流すだけのつもりが、ついつい長居してしまったとナミとロビンは湯からあがる。
「オレ、もう少し入ってる。」
ルフィはロビンに言われたことを考えてみようとまだ、入っていることにした。
「そう?あまりずっと入っててのぼせたりしないでよ〜?」
「おうっ。」
ナミの言葉に返事をしつつも、ルフィはナミにはあって自分にはないものをぐるぐると考えていた。

ナミとロビンがあがって、どれくらいの時間経っただろう。
すっかりのぼせあがってしまったルフィはようやく、ふらふらと湯からあがり着替えてお風呂を後にした。
火照った体を冷まそうと風に当たるため甲板に行くと、そこには今しがた目覚めたばかりの様子のゾロがいる。
くぁ〜っと大きな欠伸をして、そこでようやくゾロはルフィが甲板にいることに気がついた。
「おい、どうしたルフィ?」
そう言って、ゾロがルフィへと近づくと、ルフィはのぼせてぼ〜っとしている頭のまま、声の方へ視線を向ける。
ルフィはゾロよりも小さいので、必然的にゾロを上目遣いで見ることになる。
上気した頬、濡れた黒髪はうなじに絡みついて仄かな色香を醸し出し、のぼせたために大きな瞳は潤んでおり、
頬と同じく綺麗に色付いた唇からは、少し荒い息が洩れている。
ルフィのその様子にゾロは思わずゴクンッと生唾を嚥下する。
「おっ、おい、ルフィ?」
視線を僅かに下にずらせば、女性ならではのふくらみが存在を主張し襟口から覗いている。
ゾロの視線はそこに吸い寄せられ、再びゴクリッと生唾を嚥下した。
ゾロのそんな様子に気付くこともなくルフィは、のぼせてしまっているのに夏島が近いため蒸し暑い甲板へ出てきてしまったため、
ますます体温は上昇し、ぐるぐると目が回り今にも倒れそうになっていた。
カンカン照りの陽射しの下で、更に蒸し暑い空気。
ついにルフィは限界を迎え、フラリッとゾロの方へ倒れる。
いつもとは違うルフィの艶めかしいまでの色香にゾロの理性はぎりぎりのところにあった。
ぎりぎりのところにあったそれは、ルフィがゾロの方へ倒れてきたことで触れたルフィの柔らかさによっていとも簡単に決壊する。
ゾロは、ルフィのことをぎゅっと抱きしめると、ルフィの顎に指をかけぐいっと自分の方を向かせる。
相変わらず頬は上気し、赤く色付いた唇からは荒い息が洩れ、黒の大きな瞳は閉じられて見る事はできないが、
長い睫毛が頬に影を落として、時折ふるりっと揺れていた。
もう限界とばかりにゾロはルフィの可愛らしい唇に己のソレを重ねようとしたとき……。
「アンタは何しようとしてんのよっ!!!!!」
声のした方へ視線を向ければ、悪鬼のような表情を浮かべたナミと、ドス黒いオーラを身に纏う笑顔のロビンがいた。
めんどくせェことになった……そうゾロは心の内で舌打ちする。
何もしてないのに、いろいろ言われんのは腑に落ちねェ。どうせいろいろ言われんのが同じなら、
ルフィを堪能してからだっていいってもんだろ。
ゾロはそう考えると、すぐさまルフィを抱えあげて逃亡する。
「あっ!!コラッ、待ちなさいよっ!!!!!」
めんどくせェことがわかってんのに、待ちなさいよと言われて待つやつなんかいるかっ!

こうして、ルフィとゾロを除くクルーが鬼のかくれんぼ?鬼ごっこが始まった……。

その日の夜、女部屋では……。
「サンジくんとゾロが狼だって何でアイツはわかんないのかしらっ!!」
「まあ、ルフィは疑うことを知らないから仕方ないわ。」
「本当にっ、アイツ等油断も隙もあったもんじゃないっ。」
女部屋では、ルフィは一人すやすやと寝息を立てながらぐっすりと眠っており、ナミはぷりぷりと怒りながらロビンに付き合ってもらい、ラムを飲みまくっていた。
ルフィになくて、ナミにはあるもの……。
"警戒心"、"危機感"。
それらがないことは非常に困りモノだけど、それらを持つルフィは、ルフィであってルフィではなく……、
この船のクルーの知っているルフィではない。
この船のクルーは皆、ルフィのことが大好きで大切に思っている。
皆、隙あらばルフィと二人っきりになりたい、そんな事を考えているわけで……。

ゾロやサンジだけでなく、ルフィ以外のこの船のクルーは皆、ルフィだけを狙う狼と言えるだろう。

〜おまけ〜
「おい、このクソ毬藻。てめェルフィに何しやがった。」
「あぁっ?てめェの方こそルフィに変なことしやがって、このグル眉。」
一触即発な二人の間に暢気な声が割って入る。
「お前ェ等、何やってんだ?」
不思議そうにこてりと首を傾げてルフィが二人を見る。
そのルフィの可愛らしい様に、二人は頬がだらしなく緩む。
「ルフィ、お前腹減ってないか?ルフィに喰わせたいもんがあんだ。」
「ホントか〜!?食いたい、喰いたいぞっ!!」
「んなモンより、オレの新しい技知りたくねェか?」
「新技〜!?見てェぞそれ!!」
「「で、お前はどっちを選ぶんだ?」」
サンジとゾロが鬼気迫る顔でルフィに迫ってくる。その様子にルフィは"うっ……"と後ずさる。
「次の島が見えてきたぞっ!!」
チョッパーのその声に、ルフィは"島〜っ!?"そう反応しチョッパーのところまで飛んで行った。
その様子をぽかんと見送ってしまった、サンジとゾロ。はっと我を取り戻し、
「てめェに負けたわけじゃねェからなっ!!」
「はんっ、そりゃこっちの台詞だっ!!」
再びいがみあいを始める。
「いい加減にしろっ!!」
二人がその様子を見ていたナミに制裁を受けたのは言うまでもない。

○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。 ○o.。
後天性に続いて、今回は先天性サラダ船長です!!
サラダ船長だけど、中身は肉船長のままなんですけどね〜(苦笑
サラダ船長の可愛い外見で肉船長の性格の方が好きなんです、わたし!!
ってか、今回ただルフィにセクハラをするサンジとゾロ及び、この二人がルフィを取り合うものを書きたかったはずなんですが……
気付けば何でこんなことに??
自分でもサッパリわかりません♪
いや〜、ルフィ♀(中身:肉)書くのが楽しくて楽しくて♪
次こそは、ルフィを巡ってサンジとゾロが!!ってのを書きたいです。。。
あっ、いやでも、シャンル書いてみたい。。。
このような駄文を読んでくださって、ありがとうございましたm(__)m

 

 

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