先天性サラダ船長
みんなのアイドル in 白ひげ海賊団 後編


「あ〜〜〜っ、疲れた〜〜〜〜〜っ!!!」
ドサッと両手の荷物を床に置いてルフィが言う。その荷物は全て服やら、靴やら、アクセサリーやら、ウィッグやらで……。
しかも、服の数は20着以上はゆうにある。
ルフィは20着決めて購入した時点で船へ戻ろうとしたのだが、イゾウがこれもルフィに似合う、
コレも……コレも……と、どんどん服を選びルフィに買った結果がこれだ。
「よしっ、ルフィ。最後にもう1店行くぞ。」
第一印象で決めて買った服も多いが、イゾウが着てみろと言うので試着して買った服も多い。
かなりの量を試着したためルフィはさすがにぐったりであったので、イゾウの言葉にルフィはがっくりと頭垂れた。
イゾウに引き摺るようにしてある店へ連れて行かれる。
「この店か……?」
「ああっ、ほら行くぞ。」
イゾウに促されてルフィは店に入った。

日もほとんど地平線へと沈み、月が昇り始めた頃ルフィとイゾウが停泊中のモビー・ディック号へと戻ってきた。
ルフィを見たクルー達は皆、頬を染め上げぼぅっとルフィを見つめる。
そんなクルーの様子に首を傾げながらルフィは、ちゃんと服を買ってきたことと戻ったことを伝えるため親父こと、白ひげの下に向かった。
「グララララララッ。」
近付くにつれて楽しそうに笑う白ひげの声が聞こえてきた。
どうやら、隊長達と酒を呑みながら話が盛り上がっているようだ。
「親父っ!!帰ったぞ!!」
ルフィの声にそこにいた面々は一斉にルフィの方を見た。
そして、皆一様に言葉を失って頬を赤く染め、ルフィの姿に釘付けになった。
白ひげも一瞬目を瞠り、そして頬を緩ませニヤリと笑った。
「グララララッ、こりゃいいじゃねェか、ルフィ。」
機嫌良く言う白ひげにルフィはコテンッと首を傾げる。何がいいと言うのだろうか?ルフィには全く意味がわからない。
頭を悩ませるルフィの後ろから現れたイゾウが声を上げる。
「当たり前だ、親父。何たっておれの見立てなんだからな。」
「そうか、やっぱりイゾウの見立てだったか。グララララッ、さすがイゾウだなっ。」
白ひげは心底楽しそうに笑った。
最後の店で買ったのは、着物一式。
着物、帯、下駄、簪、全てイゾウが見立てたものだ。買った店で着付けてもらい、ウィッグをかぶり髪も結い上げているようにアレンジしてもらった。
いつものルフィとは180度違う装いだが、驚くほどにそれはルフィにぴったりと合っていて、
まるでルフィのためだけに仕立て上げられたようで皆、ルフィに見惚れた。
そんな周りの様子に首を傾げながらルフィは白ひげに言う。
「んんっ?何だかよくわかんねェけど、ちゃんと買ってきたぞ、服!!それ着りゃあ、行っていいんだろっ!!?」
女らしい格好をすれば、海賊討伐に行っていい。そう言った白ひげに今一度ルフィは確認する。
「ああっ、そういう約束だったからな。行っておれの縄張り(シマ)の側で暴れる馬鹿共をのして来いっ。」
ニヤリと笑いながら白ひげが言えば、"いやったぁ〜〜〜〜〜〜っ!!"とルフィは飛び跳ねて喜んだ。
ルフィの嬉しそうな様子を白ひげは満足そうに見つめる。それは、隊長達も同じこと。
可愛いルフィの喜ぶ姿に目を細め、頬を緩めた。
「そうだ、ルフィ。お前珍しくそんな格好してんだ、酌でもしろっ!!」
「おうっ!!いいぞっ!!にししししっ。」
ルフィは機嫌が良いときにする独特の笑い方をすると、白ひげのでかい盃に酒を注ぎ入れた。
「ルフィっ!!おれも酌してくれねェか?」
「あっ!!おれも!!」
おれもおれもと皆、一斉に手を挙げる。そんな皆の様子にルフィは、ぱちくりっと大きな瞳を瞬かせてから、"にししししっ"と機嫌よく笑った。
「おおっ!!今まわるから待ってろっ!!」
そう言って、皆に酒を注いでまわった。
この日、深夜をまわっても白ひげ海賊団の船からはどんちゃん騒ぎをする声が聞こえていた。

――翌日
「もう、いいよこれでっ!!」
そう頬を膨らませ文句を言うルフィに誰も首を縦には振らない。
海賊をぶっ飛ばしに行こうとルフィが、白ひげのところへ出発することを伝えに行くと、
「その格好で行くのか?」
っと白ひげに言われた。「ダメかっ?」と聞き返すと、
昨日買った服を一通り全て着てみろと白ひげと各隊の隊長から言われ、ルフィは何度も着替えを繰り返し、
さしずめ一人ファッションショーのような状態になっていた。
いい加減何度目かわからない程の着替えに嫌気がさしたルフィが根をあげて文句を言うが、すぐさま却下された。
着替える度に、エースはルフィを写真に撮りまくり、クルー達も仕事をほっぽり出してルフィの一人ファッションショーを見ている。
皆、おれがどんな服買ったか知らないからもう、服これだけだ!!って言ってもわかんねェんじゃないか!?
そう思い誤魔化そうとしたら、その場にいたイゾウに突っ込まれ、ルフィは再び着替えに行かされた。
結局、本当に一通り全ての服に着替えさせられた挙句、クルー達の間で何故かどの格好が良かったかの投票が始まり、
ようやくルフィは船を出発するところまでこじつけた。
ロングヘアのウィッグを被って、ラインストーンのロゴ入りの赤のチューブトップの上に白の半袖のパーカを羽織って、
下はデニム地のプリーツのミニスカート。足元は黒地に白のドットで足首でリボンを結ぶタイプのウェッジソールサンダル。
今日は、"麦わらのルフィ"とバレないように、宝物の麦わら帽子は被っていない。
ようやく、船を出発できる状態になったにも関わらず、数時間にも及びファッションショーのためにルフィは出発前からぐったりしていた。
けれど、せっかくの久しぶりの戦闘チャンスを逃すつもりはない。
何せ、白ひげ海賊団の皆は、白ひげを筆頭にルフィを対外的な戦闘に参加させてくれない。
もちろん可愛いルフィに怪我をさせたくないからというのもあるが、可愛いルフィを他の船の奴に見せたくないなんて理由もある。
なので、最近のルフィは白ひげの隊長達との手合わせ以外戦闘行為というもの自体することがなかったので、
この久しぶりに巡ってきたチャンスを何としてでも逃したくないのだ。
「んじゃあ、行ってくる!!」
ルフィが気を取り直したように元気にそう言うと、白ひげが答える。
「お前ェは、けっこう方向音痴なところがあるからな、船まではジンベエが海底から船を引いて誘導してくれる。
じゃあまあ、白ひげの縄張り(シマ)近くで暴れりゃどうなるか見せてやって来い。」
航海術を持ち合わせておらず、本能のままに生きるルフィがここから見えない船まで辿り着けるハズもないので、
白ひげはあらかじめジンベエに連絡を取ってルフィを船まで連れて行って、モビー・ディック号へ連れ帰ってくれと頼んでいた。
「それじゃあ、親父さん、行ってきます。ルフィくん、行くぞ。」
「おうっ!!」

――in 敵船
「何でコイツ等すでにやられてんだ!!?」
ルフィがジンベエに連れられて海賊船につき、乗り込んでみると、そこは死屍累々の山……。
船のクルー全員が既にぶちのめされた後のようでルフィは"何でだァ〜??"っと首を傾げる。

時遡ること、クルーの投票で服が決まりルフィが着替えているとき……。
「じゃあ、行ってくるよぃ、親父。」
「親父、おれも行ってくるぜ。」
「グラララララッ、行って来い。間違ってもルフィに気付かれんじゃねェぞ。ルフィにバレたらおれまで嫌われかねねェ。
まあ、お前等に限ってそんなことはまずねェだろうがな。」
ルフィに危険が及ばないよう、ルフィを見守るべくマルコとエースは船を出た。
そして、目的の船からは死角だが船に最も近い場所に着くと2人は、ルフィの到着を待つ体勢をとる。
ルフィの一人ファッションショーを思い出したのか、エースはうっとりと呟く。
「あ〜それにしても、おれのルフィはやっぱ可愛いなぁっ……。」
「お前のじゃないよぃ。けど、可愛いのは間違いねェなぃ。」
「ああ”っ!!?今何つったマルコ!!?お前のじゃねェだって?」
「ああ、言ったよぃ!!ルフィは別にエース、お前のじゃないよぃ!!」
「だ〜か〜ら〜、この前も言ったけどなァ、ルフィはおれの可愛い可愛い妹なんだ!!!だから当然おれのに決まってんじゃねェか!!」
「何度でも言ってやるよぃ!!お前の妹だからと言って、お前のってわけじゃないよぃ!!」
「っんだと、この鳥野郎っ!!!」
「何だよぃ、このシスコン野郎っ!!!」
ケンカがヒートアップする毎に、2人の声は段々と大きなものになっていく。
「やんのか、ゴルァっ!!?」
「そっちこそ、やんのかよぃっ!!!」
ここまで来ると、もはや2人の声は辺りに響き渡っており、当然わざわざ目的の船から死角の場所にいたのも、
全くの無意味で……。2人の存在は完全に敵船にバレていた。
しかも、白ひげ海賊団の一番隊隊長の不死鳥のマルコと、二番隊隊長の火拳のエースということもバレており……。
そのため、仕留めれば自分の名が上がると考えた格の違いすらもわからない馬鹿な海賊達は、マルコとエースへ攻撃を仕掛ける。
もちろんそんなものでやられるような2人ではない。
海賊達の攻撃なんて気に留めることもなく、2人はケンカを続ける。
「おれのルフィは可愛いんだから、シスコンにならねェ方がおかしいだろうが!!!」
「だから、お前のじゃないって言ってるよぃ!!!ルフィは誰のモンでもないよぃ!!!」
「当たり前だ!!おれ以外のモンのハズねェんだからな!!!」
「エースのモンでもねェって何度言えばわかるんだよぃ!!!勝手にお前だけのモンにすんじゃねェよぃ!!!」
2人が不毛な言い争いを続けている間、海賊達の攻撃の手が休むことはない。
いい加減、その攻撃がうざくなってきて、2人はついに……。
「「お前ェ等、うるせぇ(んだよぃ)!!!」
怒りの鉄拳を海賊達にくらわせた……。
ようやく静かになったことで、2人はふと我に返る。そして、周りを見渡せば、海賊達の死屍累々の山……。
2人はサァーッと自分達の血の気が引くのがわかった。
まずい……そう思いどうしようかと考え始めた矢先に、ルフィとジンベエが近付いて来ていることに気付く。
ルフィにバレるわけにはいかない、2人はとりあえず急ぎその場から離れた。

そして、ルフィが敵船に着いて、死屍累々の山を目にしたところへつながる。
「せっかく久しぶりに暴れられると思ってたのに……。」
っとぶつけようのない怒りに襲われているルフィの様子を気付かれないようにマルコとエースは伺う。
「やっぱ、ルフィは可愛いなぁ……。」
「そうだなぃ。よく似合ってるよぃ。」
ルフィの胸中など知らないように、ルフィの姿を見て2人は呟いた。
本当に可愛いルフィの様子にふと思う。
「あんな可愛い姿を他の奴等に見せずに済んで良かったぜ。」
「ルフィには悪いが結果としちゃ、吹っ飛ばしておいて良かったよぃ。」
マルコとエースはうんうんと頷く。
可愛いルフィを見れるのはおれ達だけで良い。エースとしてはむしろおれだけで良いと思っているので、
敵船の海賊達を吹っ飛ばしたことに後悔は微塵もない。
一方ルフィは、嫌いな女らしい格好までしたのに吹っ飛ばせる相手の姿がなく、暴れることもできず、
ぶつける場所のない怒りが渦巻く。ググっと拳を握りこみ叫ぶ。
「暴れらんねェじゃねェかァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
覇王色の覇気を纏ったその叫びは大気をびりびりと振動させ、エースとマルコによって吹っ飛ばされた後、
意識が戻りかけた海賊達の意識を再び刈り取った。

結局、不完全燃焼どころか全く何もすることなくルフィはモビー・ディック号へジンベエと共に戻った。
ルフィの怒りの声を聞き、その怒りの原因を作り出してしまったマルコとエースは、
海賊達を吹っ飛ばしたことに後悔はしていなかったが、ルフィの機嫌を取るべく、せっせとルフィに旨い飯を与えていた。
その内、2人の不毛の言い争いを妨害したために吹っ飛ばされた海賊達の様子を見ていた他の海賊の口から、
その事実が広まり、それはもちろんルフィの耳にも入ってきた。
その話を耳にしたルフィがマルコとエースを完全無視するようになったとかならないとか……。

〜おまけ〜
おまわりさん(自警団)に連行され、職務質問を受けるハメになった白ひげ海賊団1〜5番隊隊長。
危うく海軍が手配している賞金首だとバレるところだったが(バレたところで彼等に敵う相手なんてそうそういないので
周りにバレないようブッ飛ばすだけだったのだが……)、どうにかこうにか事無きをえて、
日が沈み始めた夕方になり、ようやくモビー・ディック号へと戻った。
「お前ェ等、辛気くせェ顔しやがってどうした?ルフィとイゾウの後を尾けてったんじゃなかったのか?」
ぐったりとした様子で船へ戻ってきた5人の姿に白ひげは声をかける。
「親父、ルフィはまだ戻ってねェのか!!?」
白ひげの言葉からルフィがまだ戻ってないのだと判断したエースは驚いたように聞き返す。
「まだ、戻っちゃいねェなァ。戻ってきたら流石におれんトコに来るだろうしなっ。」
白ひげの言葉に、5人はズーン……っと空気を重くした。
5人の様子に気付いていながらそれを気遣うことなく、白ひげは無視して問いかける。
「で、お前ェ等は何でルフィより先に戻ってきたんだ?」
イゾウだけでも十分ボディガードにはなるが、1〜5番隊の隊長が周りにいればルフィの安全は確実なものなので、
白ひげは安心していたのだがなぜか5人の方がルフィより先に戻ってきた事実に白ひげは眉間に皺を寄せる。
それに気付かず白ひげの問いかけに、エースは声を大にしてルフィと引き離された(エースはそう思っている。)理由を告げる。
「聞いてくれよ親父っ!!おれの可愛いルフィがイゾウと2人っきりで買い物なんて(イゾウが)危険すぎるから、
おれはルフィのことをいざというときすぐ助けられるよう、そっと影から見守ってたんだ!!
それなのに、可愛いルフィの兄であるおれを不審者扱いしやがって……。」
「自警団の奴等に職務質問されてる間に、ルフィ達を見失っちまったよぃ……。」
マルコの言葉に白ひげは、一瞬瞠目し次の瞬間には豪快に笑い始めた。
「グラララララッ。違いねェ!!お前ェ等みたいな奴等がコソコソ影に隠れてルフィ達の動向窺ってりゃァ、
通報もされるもんだ!!グララララッ。」
天下の白ひげ海賊団の1〜5番隊隊長であるマルコ、エース、ジョズ、サッチ、ビスタが職務質問されてる姿なんて、
彼等を知る者達からすれば考えられない光景だ。
ルフィとイゾウが船に戻ってきたのは半刻後。
それまでの間に、ぼやく5人の話を肴にして白ひげ海賊段の宴は始まった。


○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o.。○o。○o.。○o.。 ○o.。
サラダルフィが白ひげ海賊団にいたら……という妄想から書きました(汗
そして、基本的にルフィ至上主義なので、まあもちろん白ひげのアイドルよね、ルフィは。。。
ってことでこんな話になってしまいました〜、あはは〜。。。orz
サッチとジョズとビスタ。。。そしてイゾウのしゃべり方が全くもってわからない!!どうしたものかっと勝手に妄想!!
サッチは、ジョズは、ビスタは、イゾウはこんなこと言わない!!って思う方もいらっしゃるかと思います。。。
そこはただひたすらにわたしの中での彼等のイメージなので!!お気に召さない方ごめんなさいm(__)m
としか言えないです(>_<;特にイゾウさんには真に申し訳ないことをした。。。ってくらいの捏造っぷりですからねぇ。
何だかおまけは何を書きたいのかわけわからんくなりました(苦笑)
あんなガタイの良い人達がこそこそ影でなんかしてたらめっちゃ不審者だよね。。。っとおもい職質されたということに(汗
いつもながらの駄文、ここまで読んでくださってありがとうございましたm(__)m
補足:あっ、ちなみに1〜5番隊の隊長達がルフィをお誘いしてる部分、あそこは、1番隊から順に言ってますので(>_<;

 

<<BACK

 

SAKURA6.JPG - 838BYTESONE PIECE TOPSAKURA6.JPG - 838BYTES